株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
「フォント」を選ぶことが、環境負荷と関係するとは思わなかった方も多いかもしれません。
しかし「タイポグラフィ」の選択は、印刷インクの消費量、デジタルデバイスの電力消費、そして読者の認知負荷に影響を与えます。
デザインの細部にもサステナビリティの視点は宿ります。
⌚︎ インク消費とフォント選択
印刷物において、文字のインク消費量はフォントの太さ・構造によって大きく異なります。
ヘビーウェイトのフォントや装飾性の高い書体は、細めのフォントより多くのインクを使います。
「Ecofont」というオランダ発のフォントは、文字の中に微細な穴を開けることでインク消費を最大20%削減することをコンセプトにしています。
印刷品質はほぼ変わらないまま、大量印刷では顕著なコスト・環境効果を生みます。
大量の文書を印刷する企業にとって、フォント選択は意外に大きな環境的意思決定です。
⌚︎ ウェブフォントとデータ消費
デジタルの世界では、カスタムウェブフォントはページの読み込みデータ量を増やします。
Googleフォントなど外部フォントを複数ウェイト読み込む設計は、ページあたり数百KBのデータを追加消費させることもあります。
- サステナブルなウェブタイポグラフィの実践としては、システムフォントの積極活用があります。
- OSに標準搭載されているフォントは、追加ダウンロードが不要です。
- デザインとしての個性は少し落ちますが、環境負荷を下げる選択として意味があります。
⌚︎ 読みやすさと認知負荷
タイポグラフィのサステナビリティで最も見落とされがちな視点は「読みやすさ」です。
読みにくいフォントは、読者が何度も文章を読み返すことを強います。
これはスクリーン使用時間の延長、つまりデバイスの消費電力増加につながります。
認知負荷の高いデザインは読者を疲弊させ、伝えたいメッセージが届きにくくなります。
コミュニケーションの効率性もサステナビリティの一形態です。
必要な情報を、最小の認知コストで伝えるタイポグラフィ——それはユーザーへの敬意でもあります。

- システムフォントで代替
- 印刷物のフォントウェイト
- 行間・文字サイズ
⌚︎ 実践チェックリスト
次のプロジェクトで確認してほしいことがあります。
ウェブフォントは本当に必要か、システムフォントで代替できないか?
印刷物のフォントウェイトは必要以上に太くないか?
行間・文字サイズは、読者が一度で読めるよう設定されているか?
これらの問いは、デザインの質とサステナビリティを同時に高めます。
SDGsの取り組み



最近のコメント