株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
「梯子に載っていないもの」:キャントリルの梯子・続編
デザインで「みらい」をつくる会社へ。
場面1:「梯子に載っていないものを、どう伝えるか」
前回、梯子の問いの最後に、こう書きました。
「この梯子には、まだ載っていないものがあります」
梯子の上で、自分の人生を評価する。
それ自体は自然な問いです。
でも、その梯子は、誰が立てて、誰が支えているでしょうか。
今回は、その問いから始めます。
場面2:声を持たない関係者を描く
梯子の質問には、回答者欄がありません。
でも、この梯子の高さに関係しているのは、人間だけではありません。
少なくとも三者、この問いの外にいます。
生態系。 川の水位が下がり、森がやせ細る。
それでも、人間の意思決定に抗議する手段を持ちません。
将来世代。 今日の選択に、投票権も発言権もありません。
それでも、今日の選択の結果を、最も長く引き受けます。
他地域の人々。 あなたの梯子を支える資源や製品は、どこかの誰かがつくっています。
その顔は、ランキングのどこにも写りません。
三者に共通するのは、「発言できない」ということです。
声を上げられない以上、誰かが代わりに問わなければ、指標には現れません。

場面3:氷山モデルで構造まで掘る
この三者の不在は、偶然ではありません。
氷山モデルで、水面下まで辿ってみましょう。
見えているのは「出来事」だけです。
その下には「所得が上がっても幸福度の伸びは緩やかになる」というパターンがあります。
さらに下には、「成長を前提にした指標設計」や「声を仕組みに組み込む手段の不在」という構造があります。
さらに深くには、「今、ここにいる人が満たされていれば良い」という、言葉にされない前提(メンタルモデル)が横たわっています。
この前提を疑わない限り、指標は何度作り直しても、同じ場所に戻ってきます。


場面4:循環・再生で検証する
ここで具体例で検証してみます。
幸福度の高さを、環境負荷(エコロジカル・フットプリント)と並べて見ると、違う景色が見えてきます。

幸福度×環境負荷の2軸|理想ゾーンと要注意ゾーン
環境負荷(エコロジカル・フットプリント)指標の仕組みと構成要素
※ エコロジカル・フットプリントとは
主に以下の6つの分野において、人間が要求する面積を足し合わせて計算されます。
単位には、世界平均の生産力を持つ土地1ヘクタールを表す「グローバル・ヘクタール(gha)」が使われます。
- カーボン・フットプリント(二酸化炭素吸収地): 化石燃料の燃焼などで排出されたCO2を、海や森林が吸収するために必要な面積。[現在、全体のフットプリントの半分以上を占めています]
- 農地: 食料、飼料、綿花などを生産するための土地。
- 牧草地: 肉や乳製品、羊毛などを生み出す家畜を放牧するための土地。
- 森林: 木材や紙などの林産物を生産するために必要な土地。
- 漁場: 魚介類を漁獲するために必要な海や湖の面積。
- 生産活動の基盤(居住地など): 住宅、インフラ、工場などが建てられ、自然の生物生産力が失われた土地。
これらの「人間が自然に求める需要(フットプリント)」と、「地球が資源を再生し廃棄物を浄化する力(バイオキャパシティ)」を比較することで、環境の持続可能性を評価します。
Happy Planet Index(英・NEFの提唱)など、幸福度を環境負荷で割って見る指標では、キャントリルの梯子の上位国とは順位が大きく入れ替わります。
高所得国の多くは「高い幸福度・高い環境負荷」のゾーンに近いと指摘されることがあります
(正確な順位は年ごとに変わるので、記事化の際は最新データの確認が必要です)
場面5:結び(この先をどこまで広げるかは、次回の話です。)
場面6:キャントリルの梯子で知る「声を持たない関係者」

場面7:キャントリルの梯子・続編:誰がその梯子を支えているのか?
SDGsの取り組み



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