「地球温暖化」パーツで見ても分からない。だから「システム思考」で見る。

役に立つ365-35

株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
結論:地球温暖化は「バグ」じゃなくて「仕様」
テーマ:「氷山モデル」|デザインで「みらい」をつくる会社へ。

結論:地球温暖化は「バグ」じゃなくて「仕様」
いきなり結論から・。

地球温暖化は、誰か一人のミスや、どこかの企業の悪意だけで起きているわけじゃない。
化石燃料を掘って燃やすほど儲かる仕組み
成長し続けることを前提にした経済
そして「自然は無限にある」という私たちの思い込み

これらが噛み合って回り続けている、いわばシステムの仕様だ

だから解決策も、「誰か一人がエコバッグを持つ」だけでは足りない。

システムそのもの、特にループ(悪循環)と構造に手を入れる必要がある。
以下、その理由を「3つの視点」から説明する。

1)なぜそう言えるのか : 「3つの視点

1. ループ図で見ると、「勝手に加速する」仕組みがある

システム思考には「ループ図」という道具がある。
「AがBを引き起こし、BがCを引き起こし、CがまたAを引き起こす」というふうに、
原因と結果をぐるっと矢印でつないだ図だ。

ぐるっと一周して同じ場所に戻ってくるループを自己強化ループと呼ぶ。
これは一度回り始めると、外から止めない限り勝手に加速し続ける。

ループ図を描く3ステップ

  1. 気になる「できごと」を1つ書く(例:今年も猛暑だった)
  2. その原因と結果を矢印でつなげていく(できごと→パターン→構造の順で深掘りする)
  3. ぐるっと一周して同じ場所に戻ってくる矢印がないか探す。
    あれば、それが自己強化ループ

ループ A:人間中心で見る
安さ・便利さを選ぶ消費行動それに応える企業の生産と広告化石燃料が有利な政府の政策・補助金車や電気が前提の便利なインフラまた同じ消費行動へ、というループだ。

ループ B:生態系・将来世代を含めて見る
氷が溶ける太陽光を跳ね返す力(反射率)が下がる地球がより多くの熱を吸収する気温がさらに上がる氷がもっと溶ける、というループ。

これは自然の側の自己強化ループで、人間が「もうやめよう」と思っても、ループ自体は簡単には止まらない。

ループ図

左だけを見ていると 「自分の行動を変えれば解決に近づく」で終わりがちだ。

右を重ねて初めて、 「海や森、まだ生まれていない世代にツケが回っている」ことが見えてくる。

2. 氷山モデルで見ると、ニュースの下に「構造」と「思い込み」が隠れている

もう一つの道具が氷山モデル。
水面の上に見えている「できごと」は、氷山全体のごく一部でしかない。
その下には、繰り返される「パターン」、それを生み出す「構造」、さらにその奥にある「メンタルモデル(当たり前だと思っていること)」が積み重なっている。

  • 出来事:猛暑のニュース、山火事、記録的な大雨
  • パターン:こうした出来事が、毎年のように記録を更新している
  • 構造:化石燃料が有利になっているエネルギー・経済の仕組み、成長を前提にした評価のされ方
  • メンタルモデル:「経済も暮らしも、右肩上がりで成長し続けるのが当たり前」という思い込み


    出来事のレベルで打つ手は「対症療法」になりがちです。
    「火が出たら消す」その繰り返しからは抜け出せません。
    本当に流れを変えたいなら、もっと下の層に降りていく必要があります。

システム思考の考え方では、一番下の「メンタルモデル」を変えることが、いちばん少ない力で大きな変化を生むレバレッジポイントだとされる(経済学者ドネラ・メドウズの整理による)。

ただし、いちばん効くところは、いちばん変えにくいところでもある。
ニュース(できごと)だけを追いかけていても、この一番深いところには気づけない。

3. 「声を持たない関係者」を入れると、見え方が変わる

温暖化の話をするとき、登場人物を「消費者・企業・政府」だけにしてしまいがちだ。
でも、実際にツケを払わされているのは、それだけじゃない。
海の生き物、森、そしてまだ生まれていない将来世代―
―自分の意見をSNSにも投票にも反映できない「声を持たない関係者」たちだ―

上のループ図で、右側(生態系を含むループ)を描いたのは、このため。
左のループだけで考えると、対策は「人間同士の話し合い」で完結してしまう。
右のループを重ねると、「この対策は、誰か・どこか・未来の誰かに負荷を押し付けていないか」を問う視点が入ってくる。

2)やってみる : バックキャスティングの手順

フォアキャスティングは「今の延長線上に、なんとなくの未来が来る」という考え方。

一方バックキャスティングは、「なりたい未来」を先に決めて、そこから逆算して「今何をやめるか・今何を始めるか」を決める考え方だ。

キャスティング

フォアキャスティングとバックキャスティングの比較
今回は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示す1.5℃シナリオを起点にした。
目安として、2030年ごろまでに世界の排出量を大きく減らし、2050年前後にネットゼロ(排出量と吸収量が釣り合う状態)に到達するという道筋だ。

この未来を先に置いて、「じゃあ2026年の自分は何をやめて、何を始めるか」を逆算していく。


3)引き算リスト:増やす前に、まず何をやめる?

システム思考では、「良いことを増やす」より先に「悪いループを止める・弱める」方が効くことが多い。
増やす施策を考える前に、まずこちらを検討したい。

  • 化石燃料への新規の補助金・投資を、これ以上増やさない
  • 使い捨てプラスチックの「新規追加」を減らす(すでにあるものを無理に捨てるより、増やさないことを優先)
  • 「安いから」で選ぶファストファッションの購入頻度を減らす
  • 空調や照明を「つけっぱなし」にする習慣を減らす

    どれも派手さはないが、自己強化ループへの「新しい燃料の投入」を止めるという意味で、レバレッジは低くない。

4)注意点・よくある失敗

1. 一つのループを良くして、別のループに負荷を移していないか
EV(電気自動車)へのシフトは、ガソリン車由来のCO2を減らす一方で、バッテリー用の鉱物採掘が別の地域の環境破壊や労働問題につながることがある。
カーボンオフセットも、計算の仕方によっては「減らした」ことにしているだけで、実際の排出は変わっていないケースがある。
対策を考えるときは、「これは本当に減っているのか、それとも見えない場所・見えない時間に移しているだけか」を毎回問い直したい。

2. メンタルモデルの変化は一番効くが、一番時間がかかる
氷山モデルの一番下(メンタルモデル)を変えるのが最も効果的だが、そのぶん一番時間もかかる。
「できごと」レベルの対策(今日エコバッグを使う)と、「構造・メンタルモデル」レベルの対策(制度や当たり前を変えるために声を上げる)は、どちらも必要で、片方だけでは足りない。

SDGsの取り組み

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をメインにサポート業務に取り組みます。
(2026年度 SDGsの取り組み)

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