「誰かを犠牲にしないデザイン」という問い

役立つ情報 365-21

株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。


ユニバーサルデザインとサステナビリティ。
一見異なるこの二つの思想は、ある一点で深くつながっています。

それは「誰かのコストの上に、誰かの便益を乗せない」という、シンプルでいて誠実な意志です。


デザインは、つねに誰かのために何かを決める行為です。

素材の選択、フォントの大きさ、情報の構造——すべての決定が、誰かに恩恵を与え、誰かにコストを課す可能性を持っています。

その「コストを払う誰か」が、設計者の視界に入っていないとき、静かな排除が始まります。

「犠牲」は、目立たない形でやってくる

段差があるから、車椅子ユーザーは遠回りを強いられる。
小さすぎる文字で、高齢者は情報にアクセスできない。
安価な素材を採用した結果、サプライチェーンの末端で誰かが健康被害を受ける。
使い捨てを前提とした設計が、まだ生まれていない世代に廃棄物を押しつける。

いずれも、設計時の「想定ユーザー」から外れた人が代価を払う構造です。

 恐ろしいのは、「特に誰も排除していない」と思っている設計の多くが、 単に「排除された人が見えていない」だけであるという事実です。


犠牲には三つの層があります

LAYER 1
空間的犠牲——今・ここにいる誰か

製品・空間・サービスが特定の身体・能力・言語・文化を「標準」とすることで生まれる排除です。

「平均的な男性の手」を基準に設計された工具、「健常者の歩行速度」を前提にした信号機—— 標準を設定する行為そのものが、誰かを周縁に押しやる可能性を持っています。

LAYER 2
時間的犠牲——未来の誰か

今の選択が、まだ生まれていない人たちの選択肢を狭めてしまうことがあります。

これはサステナビリティが正面から扱う問いであり、埋め立てられた干潟、採掘し尽くされた鉱脈、 蓄積したCO₂はすべて「未来へのツケ」として転嫁された犠牲といえます。

LAYER 3
構造的犠牲——システムの外にいる誰か

サプライチェーンの末端、地政学的に弱い地域、声を持たない生態系。

「エシカルなブランド」を支えるレアメタルが紛争地域の児童労働で採掘されているとき、 恩恵を受ける人とコストを払う人は意図的に遠ざけられています。

「誰も傷つけない」が、かえって誰かを傷つけることがある

少し意外に思えるかもしれませんが、「無難なデザイン」が もっとも多くの人を置き去りにしてしまうことがあります。

  1. リスクを恐れて変えない都市設計が、弱者を旧来の不便に閉じ込め続ける。
  2. 「誰も怒らせない」パッケージが、情報弱者に誤解を与え続ける。
  3. 平均を最適化したプロダクトが、平均から外れた全員を疎外する。

 「誰かを犠牲にしないデザイン」とは、コンフリクトを避けることではない。
 コンフリクトと「誠実に向き合うこと」だ。

【※コンフリクト(conflict)とは、競合・衝突・対立。】

デザインは、分配の行為である

「誰かを犠牲にしないデザイン」とは、恩恵とコストをどう分けるかを、丁寧に考え続けることではないでしょうか。

ユニバーサルデザインが「あらゆる人が使えるデザイン」を目指し、 サステナビリティが「あらゆる世代が生きられる社会」を目指すように
—— 両者の交差点は「誰かを犠牲にしないデザイン」という考え方があります。

私たちは、「デザインでみらいをつくる会社へ。」という言葉を大切にしています。

その「みらい」が、特定の誰かだけのものではなく、
まだ見ぬすべての人のための時間であってほしいと、心から思っています。

SDGsの取り組み

目標 4 質の高い教育をみんなに
目標12 つくる責任つかう責任
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
をメインにサポート業務に取り組みます。
(2026年度 SDGsの取り組み)

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「前橋SDGsパートナー」に登録されました。(登録番号:109)

前橋SDGs

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