株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
連載:中山正和のNM法で発想する─ 「グリーンインフラ・システム思考編」 第3回
── 森のスポンジから「保水」を借りる──
ゲリラ豪雨で排水が追いつかず、街なかが浸水する「内水氾濫」。
下水管をどんどん太くする発想(グレーインフラ)には、コストにも限界があります。
NM法を使って、発想を“ 森 ”に飛ばすと、街そのものを「巨大なスポンジ」に変えるグリーンインフラのアイデアが見えてきます。
「サステナブルな都市デザイン」に踏み込む回です。
NM法とは──ひとことで
中山正和が1960〜70年代に確立した、日本生まれの発想法です。
核にあるのはアナロジー(類比)思考。
「ゼロから天才的にひらめく」のではなく、自然界や別ジャンルでうまくいっている仕組みを見つけ、自分の課題に翻訳して持ち込む。
今ふうに言えば、パクリではなく“リミックス”です。
NM法の5ステップ
キモは「飛ぶ → 掘る → 戻る」。
一度まったく関係ない世界に飛ばし、仕組みだけ持ち帰って自分の課題に翻訳する。
この遠回りが、ふだんの思考のクセでは出てこない発想を連れてきます。

まず、課題の本質を短い動詞で抜き出します。
「短時間豪雨による都市の内水氾濫を減らしたい」【❶:テーマ】
本質キーワードを「ためて、ゆっくり出す」と置きます。【❷:KW】
次に、自然界で “ いっきに来る水を受け止めて、少しずつ出している” ものを探すと、森のスポンジ状の土にたどり着きます。【❸:QA】
これを都市に翻訳すると——
街全体を「巨大なスポンジ」に変えるアイデアになります。【❺:QC】
雨水を一点の下水管に集中させず、降った場所のすぐ近くで分散して受け止める。
透水性舗装、レインガーデン(雨庭)、植栽帯(バイオスウェル)、屋上緑化、貯留浸透ます……。
これらはどれも、森の“すき間”を都市に移植した装置です。
「速く流す」グレーインフラ一辺倒から、「ためて・ゆっくり出す」グリーンインフラへ。
応用のヒント
ピーク流量をならすこの発想は、システム思考でいう “ 失われたバッファ(緩衝)を取り戻す ” レバレッジポイントそのものです。
「雨庭・流域治水・スポンジシティ・公園や緑地の計画」など、気候変動への適応(アダプテーション)を扱うあらゆる場面に応用できます。
「速く処理する」より「やわらかく受け止める」へ。
これがレジリエントな都市デザインの核です。
まとめ
次にアイデアに詰まったら、こう問いかけてみてください。
「これと同じことを、自然界や別のジャンルでは、何がうまくやっている?」──
その問いが、あなたの “ みらい ” をつくる最初の一歩になります。

連載:中山正和のNM法で発想する─ 「農園編」 第2回



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