「推し活」と「フリマアプリ」は、なぜ同時に流行るのか?

Z世代×未来志向_第1回

株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
Z世代×未来志向シリーズ|第1回|
デザインで「みらい」をつくる会社へ。

Z 世代消費行動を、氷山モデルで読み解く

「推し」には惜しみなく課金するのに、日用品はフリマアプリで徹底的に安く済ませる。
サブスクは増える一方なのに、半年で平気で解約する——
新品より古着を選ぶのに、限定コラボには徹夜で並ぶ——
Z 世代の消費行動は、一見すると矛盾だらけに見えます——

しかし「矛盾」に見えるのは、私たちが消費行動を「出来事」のレベルだけで見ているからかもしれません。
システム思考の代表的なツールである氷山モデルを使うと、この一見バラバラな行動の奥に、一本の構造が走っていることが見えてきます。


氷山モデルというレンズ

氷山モデルは、目に見える「出来事」の奥に、「パターン」「構造」「メンタルモデル」という3つの深い層があると捉えるシステム思考のフレームワークです。

水面から出ている氷山の先端(出来事)だけを見ていても、なぜそれが起きるのかは分かりません。
水面下にある巨大な構造を見て初めて、表面の出来事の理由が説明できます。

Z世代の消費行動も同じです。
「推し活に課金する」「フリマアプリで安く買う」という個別の出来事だけを切り取って分析すると、「コスパ重視なのに浪費家」「合理的なのに気まぐれ」という矛盾した人物像しか描けません。

「層」を一段ずつ降りていきましょう。

Z世代×未来志向_第1回

①「出来事層」 — 目に見える消費行動

まず、観察できる行動そのものを並べてみます。

  • 推し活・コンテンツ課金に積極的に投資する
  • フリマアプリ・古着で日用品や衣類を安く調達する
  • エシカル消費(環境・人権に配慮した商品選択)を意識する
  • サブスクを次々契約し、同じくらいの頻度で解約する
  • 限定コラボ・先着グッズには時間と労力を惜しまない

②「パターン層」 — 時間軸で見えてくる傾向

これらの出来事を時系列で並べると、いくつかの一貫した傾向が浮かび上がります。
「所有」よりも「体験・参加」にお金が動く。

固定費的な支出(モノの保有)は徹底的に削り、変動費的な支出(瞬間への参加)には惜しみなく使う。
そして、選択の理由を語れる消費(なぜそれを選んだか説明できる)が好まれる、というパターンです。

③「構造層」 — 行動を生み出す仕組み

ではなぜ、このようなパターンが生まれるのでしょうか。
背景には、Z世代を取り巻く構造的な条件があります。

  • SNSによる可視化経済 — 消費行動そのものが「発信コンテンツ」になり、参加や体験は可視化されやすく、所有は可視化されにくい
  • 情報の非対称性が薄い環境 — 価格比較・レビュー・サプライチェーン情報に誰でもアクセスでき、「割高な所有」への合理的な抵抗感が育つ
  • 将来不安と可処分所得の制約 — 終身雇用や年功序列を前提にできない経済環境が、固定費を増やすことへの慎重さを生む
  • コミュニティ承認のシステム化 — 「推し」やコラボグッズへの課金が、特定コミュニティ内での所属・承認のシグナルとして機能する

つまり、推し活への課金とフリマアプリの活用は、別々の価値観から来ているのではなく、「限られた資源を、可視化・共感・所属につながる消費に集中投下する」という、同一の構造から生まれた2つの表れなのです。

④「メンタルモデル層」 — 深層にある価値観

最も深い層には、Z世代が(意識的にも無意識的にも)前提としている価値観があります。

  • 「消費は所有の手段ではなく、関係構築と自己表現の手段である」
  • 「個人の選択は、社会的・環境的な結果とつながっている
  • 「説明できない支出より、納得して選んだ支出のほうが価値が高い

この層まで降りると、「推し活」と「エシカル消費」がなぜ同じ世代の中で同時に強くなっているのかが見えてきます。
どちらも根っこは同じで、「この消費は、自分が何者であるか、何を大切にしているかを語っている」という一点に収束しているのです。

Z世代×未来志向_第1回

企業が見るべきは「行動」ではなく「構造」

Z世代は推し活が好き」「Z世代はエシカル消費を重視する」という出来事レベルの理解だけでマーケティング施策を組むと、両者が矛盾しているように見えて施策が分裂してしまいます。
本当に必要なのは、その奥にある「この消費は何を語っているか」という構造とメンタルモデルへの理解です。
ブランドが向き合うべき問いは、「どうすればもっと買ってもらえるか」ではなく、「この商品・サービスへの参加は、顧客にとってどんな自己表現になり得るか」です。
これは単なるマーケティング戦術ではなく、デザイン思考でいう「顧客の文脈に深く入り込む」アプローチそのものでもあります。

次回予告:このシステム思考の視点を「キャリア観」に転用し、Z世代が働き方を選ぶときに見せる『逆算思考』を、デザイン思考のバックキャスティングと重ねながら読み解きます。

SDGsの取り組み

目標 4 質の高い教育をみんなに
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目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
をメインにサポート業務に取り組みます。
(2026年度 SDGsの取り組み)

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