株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
Z世代×未来志向シリーズ|第3回|
デザインで「みらい」をつくる会社へ。
システム思考の「レバレッジポイント」で読み解く、つながり方のリデザイン
複数のDiscordサーバーに同時に所属し、推し活コミュニティでは熱量高く交流するのに、リアルの友人関係には深入りしすぎない。
一つのコミュニティに骨を埋める覚悟をするより、興味の移り変わりとともに居場所を渡り歩く——。
Z世代のつながり方は、「絆が薄くなった」と評されがちです。
しかし、システム思考の視点で見ると、これは「絆の希薄化」ではなく、つながり方の重心が「強い紐帯」から「弱い紐帯」へ意図的に移動している現象として説明できます。
今回は社会学の「弱い紐帯の強さ」理論と、システム思考の「レバレッジポイント」を重ねて読み解きます。
「弱い紐帯の強さ」という逆説
社会学者マーク・グラノヴェッターは、人間関係を「強い紐帯」(家族・親友など深く濃い関係)と「弱い紐帯」(知人・SNSでの緩いつながりなど)に分け、新しい情報や機会の多くが、実は弱い紐帯を通じてもたらされることを明らかにしました。
強い紐帯で結ばれたグループは、内部の情報が均質化しやすく、同じ話題・同じ機会が繰り返し循環します。一方、弱い紐帯は異なるグループ同士を橋渡しする「ブリッジ」として機能し、自分の輪の外側にある新しい情報・視点・機会を運んできます。
レバレッジポイントという視点
システム思考家ドネラ・メドウズは、システムに変化を起こす介入点(レバレッジポイント)には強弱がある。
中でも「情報の流れ」「ルール」「パラダイム(前提となる考え方)」を変える介入が、最も大きな変化を生むと整理しました。
これをコミュニティという「システム」に当てはめると、弱い紐帯は単なる人間関係の一形態ではなく、複数のコミュニティ間の「情報の流れ」そのものを作り変えるレバレッジポイントだと捉え直すことができます。
Z世代のつながり方を、レバレッジポイントで見る
- 複数の緩いコミュニティに同時所属する — 一つのクラスターに固定されず、複数のネットワーク間を行き来する「ブリッジ」のポジションを自然に取る
- 興味の移り変わりとともに居場所を変える — 特定のコミュニティへの固定費的なコミットを避け、情報や機会の流入経路を複数保つ
- リアルの強い絆と、オンラインの弱い絆を使い分ける — 深い安心感は少数の強い紐帯に、新しい視点や機会は多数の弱い紐帯に、それぞれ役割を分けて持つ

一つひとつのつながりが「薄い」ことは、欠点ではありません。
多数の弱い紐帯を持つこと自体が、個人をシステム全体の情報ハブに近い立ち位置に置く、レバレッジの高い戦略になっているのです。
なぜこの傾向が、この世代で強まったのか
- SNSのアルゴリズムが、興味関心ベースで多様な他者との接触を常時生成する
- オンラインコミュニティの参加・離脱コストが極めて低く、複数所属が前提になっている
- 「所属先が人生を保証する」という前提(終身雇用・地域共同体)が弱まり、自らネットワークを設計する必要が生まれた
組織が設計すべきは「囲い込み」ではなく「ブリッジ機能」
従来型のコミュニティ設計は、いかに会員を「囲い込み」、強い帰属意識を作るかに重心がありました。
しかしZ世代にとって魅力的なのは、出入りが自由で、他のコミュニティとも緩くつながれる「ブリッジ性の高い」設計です。
企業が見るべきは「行動」ではなく「構造」
次回予告:次回(最終回)は、これまでの消費・キャリア・コミュニティの3つの視点を統合。
「未来志向」を仕事や事業として実践していくための道筋を、デザイン思考とシステム思考の両面から描きます。
SDGsの取り組み



最近のコメント