株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
Z世代×未来志向シリーズ|第2回|
デザインで「みらい」をつくる会社へ。
デザイン思考の「バックキャスティング」で読み解く
3年で転職しても動じない。
会社員をしながら個人で複数のプロジェクトを掛け持ちする。
就職先を選ぶとき、企業の規模や知名度より「そこで何が得られるか」を先に聞く——。
Z世代のキャリア選択は、上の世代から見ると「腰が据わっていない」ように映ることがあります。
しかし、これは「キャリアへのコミットが弱い」のではなく、キャリアの組み立て方そのものが違う、と捉えるとつじつまが合います。
今回はデザイン思考の代表的な手法「バックキャスティング」を使って、その違いを言語化します。
「フォーキャスティング」と「バックキャスティング」
将来の計画の立て方には、大きく2つの方向があります。
フォーキャスティング — 現在地から積み上げて未来を考える。
「今の延長線上に、どんな未来がありうるか」を予測する思考
バックキャスティング — 理想の未来像を先に定義し、そこから逆算して考える。
「今、何をすべきか」を導く思考
Z世代のキャリア選択の多くは、これとは逆の順番で組み立てられています。
Z世代のキャリア選択を逆算思考で見る
Z世代に観察される行動を、「バックキャスティング」のプロセスに当てはめてみます。
① なりたい姿を先に定義する — 「どんな1日を過ごしていたいか」「誰に・どんな影響を与えたいか」という理想像を、肩書きより先に言語化する
② 逆算して必要な経験・スキルを洗い出す — 理想に近づくために今どんな経験が必要かを考え、それが今の会社で得られないなら転職や副業で補う
③ 今の会社・仕事を「一区間」として位置づける — 終身雇用を前提としないため、今の所属は理想への経路上の一つの通過点として扱われる
つまり、転職や複業へのハードルの低さは「飽きっぽさ」ではなく、理想の終着点から逆算した結果、今のポジションでは経路の途中までしか進めないと判断した、合理的な選択であることが多いのです。

なぜこの思考様式が、この世代で強まったのか
- 終身雇用・年功序列という「決まった梯子」が前提にできなくなった — 一段ずつ積み上げる先に何があるかが見えにくい
- SNSによって多様なロールモデルが可視化された — 「正解は一つではない」という実感を、具体的な他者の人生を通じて得やすい
- VUCAな社会変化のスピード — 数十年単位の見通しを立てるより、理想像を起点に都度経路を引き直すほうが現実的
不確実性が高い時代ほど、「今からできることを積み上げる」フォーキャスティングは機能しにくくなります。
代わりに「まず理想を描き、そこから逆算する」バックキャスティングが、生存戦略として自然に選ばれているとも言えます。
組織が示すべきは「キャリアパス」ではなく「終着点との接続」
従来型の「3年で主任、5年で課長」というキャリアパスの提示は、フォーキャスティング的な世界観を前提にしています。
Z世代に響くのは、決まった梯子の提示よりも「あなたが描く理想に、この経験はどうつながるか」を一緒に言語化する対話です。
これはデザイン思考のワークショップで行う「望ましい未来像から始める」プロセスと同じ構造です。
組織側が一方的にキャリアの正解を提示するのではなく、個人の理想像(終着点)を起点に、今の職場で得られる経験を逆算的に再設計する。
これができる組織が、Z世代にとって「経路の一部として選ばれる」場所になります。
次回予告:この「逆算思考とシステム思考のレバレッジポイント」を重ねながら、Z世代がなぜ「弱いつながり」を求めるのかを、「コミュニティのリデザイン」という切り口で読み解きます。
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