株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
サッカーと地球のキックオフ宣言 開幕まであと17日
2026年6月11日、メキシコシティのスタジアムで一発のホイッスルが鳴る。
その瞬間、48か国・104試合・39日間にわたる 「FIFA ワールドカップ2026」が幕を開ける。
約50億人が視聴すると予測されるこのイベントは、スポーツの祭典であると同時に、地球規模の「デザインチャレンジ」でもある。
私たちはデザイン会社として、ただの観戦記ではなく、サステナブルデザインの視点でワールドカップを読み解くブログを毎日届けていく。今日はその第1回。まず問いを立てよう。
01 世界最大のスポーツイベントが抱える「矛盾」
ワールドカップはサステナビリティにとっての試練そのものだ。
世界中から選手・サポーター・メディアが一箇所に集まる。
飛行機が飛び、ホテルが埋まり、スタジアムでは巨大なスクリーンが輝き続ける。
英国マンチェスター大学の研究者 Carl Death が指摘するように、「最大の環境負荷は何をおいても移動(トラベル)」だ。
- 大会期間:2026年6月11日~7月19日(39日間)
- 参加国数:48か国(史上最多。従来の32か国から拡大)
- 開催地:アメリカ(11都市)、メキシコ(3都市)、カナダ(2都市)
- 総試合数:104試合(従来比 +24試合)
02 FIFAが掲げた「4本柱」の環境戦略
FIFA は今大会に向けて Sustainability & Human Rights Strategy を策定した。
戦略は「社会・環境・経済・ガバナンス」の4本柱から構成されており、環境ピラーでは各ホスト都市に対して独自の環境計画の策定と実行を義務づけている。
| 取り組み領域(4本の柱) | 主な施策 | 具体例 |
| 排出削減 | 移動・エネルギーの最適化、低炭素交通の促進 | ヒューストンが100%再生可能電力を約束 |
| 廃棄物管理 | 食品廃棄削減、建設資材の再利用、リサイクル強化 | 会場での一回使いプラを段階的に廃止 |
| 水効率化 | 芝生灌漑の最適化、節水設備の導入 | 全16会場に天然芝を導入(炭素吸収効果) |
| 生物多様性 | 都市熱島低減、緑地保全プログラム | 天然芝によるビオトープ形成効果 |
注目すべきはアトランタの Mercedes-Benz スタジアムだ。
このスタジアムには4,000枚以上のソーラーパネルが設置され、再生可能エネルギーで稼働している。
会場設計の段階からサステナビリティが「後付け」ではなく「根幹」にある——
まさにデザイン思考が問い続けてきたことだ。
03 デザイナーはなぜワールドカップを見るべきなのか
ここで少し視点を変えてみましょう・。
私たちがこのシリーズを書く理由は、「サッカー好きだから」だけではない。
「ワールドカップ2026」は、デザイン思考を現実世界の最大スケールで適用した事例の宝庫だからだ。
🎯 フォーマットデザイン:32 → 48チーム拡大。(多様性か、質の低下か)
🌱 インフラデザイン:既存スタジアム活用 vs 新設。(遺産価値の設計)
🧑🤝🧑 コミュニティデザイン:地域住民・ボランティアを巻き込むサステナ施策。
🌐 コミュニケーションデザイン:Z世代サポーターへの発信と共感のつくり方。
ピッチの上では「11人がシステム」として機能する。
監督はユーザー(選手)のケイパビリティを見極め、戦術(体験設計)を組み、試合(プロジェクト)をマネジメントする。
ハーフタイムの修正は、まさにリアルタイムのイテレーションだ・!!
04 Z世代が観るWC2026——何が変わったか
ワールドカップの観客層が変わりつつある。
かつてテレビの前で家族で見ていた大会は、今やTikTokのショート動画で「名場面だけ」切り取られ、Discord のサーバーで仲間と「リアルタイム感想戦」が繰り広げられる。
Z世代にとってスポーツ観戦は「コンテンツ消費」と「コミュニティ参加」の同時体験だ。
そして彼らは消費の裏側に敏感でもある——
ユニフォームの素材は?
スポンサーは人権問題を抱えていないか?
好きなクラブはどんな社会活動をしているか?
このシリーズではその問いに正面から向き合っていく。
SDGsの取り組み



最近のコメント