株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
── TikTok・Discord・エシカル消費。新世代が変えるサッカーとの関係。
サッカーはデザイン思考そのものだ。 開幕まであと14日
Z世代にとって、ワールドカップは「テレビで観るもの」じゃない。
スマートフォンを縦に持ち、TikTokで「今日の神セーブ」を30秒で確認する。
Discordのサーバーに飛んで仲間とリアクションを交わす。
推し選手のユニフォームを買う前に、そのブランドの労働環境をX(旧Twitter)で調べる——。
これがZ世代(1997~2012年生まれ)のワールドカップ体験だ。
観戦スタイルも、応援の形も、消費の判断基準も、前の世代とは根本的に違う。
そしてその変化は、デザインやコミュニケーションを仕事にする私たちにとって、見逃せないシグナルを含んでいる。
[※ Discordは「誰もが居場所を見つけられる空間を」というコンセプトで作られたコミュニケーションツール]
01 まず知っておく:Z世代の観戦・消費行動の「前世代比較」
Z世代のサポーター像を理解するために、まず行動の違いを整理しておこう。
| ⚽ 観戦・消費行動 | ミレニアル世代以前 | ✨ Z世代の特徴 |
| 試合の視聴方法 | テレビの前で家族・友人と観戦 | スマホで「ながら観戦」+SNS実況が同時進行 |
| 情報収集 | スポーツ新聞・専門誌・テレビ解説 | YouTube戦術解説・TikTok切り抜き・Podcast |
| 仲間との観戦体験 | スタジアムか自宅に集まる | Discordサーバー・オンライン同時視聴(Rave等) |
| グッズ購入の判断軸 | 好きなチーム・デザインの好み | 素材の環境負荷・ブランドの倫理姿勢が加わる |
| 選手への関心 | 成績・スタッツ中心 | 人物・価値観・社会活動・私生活も含む「推し活」 |
| 大会への期待 | 好成績・エンタメ | サステナビリティ・ダイバーシティへの姿勢も評価 |
ここの変化は一言で言えば「消費者から共同参加者へ」のシフトだ。
Z 世代はスポーツを「受け取る」のではなく、コンテンツを作り、コミュニティを運営し、価値判断に自分の倫理観を持ち込む。
02 Z世代の3つの観戦スタイル
📱 ショート動画ファースト
試合をリアルタイムで観ない。名場面をTikTokやReelsで後から消費。
5秒の判断で「好き」が決まる。
🎮 コミュニティ参加型
Discord・LINEオープンチャットで「感想戦」が本番。
観戦よりリアクション共有が主目的の場合も。
🔍 深掘りオタク型
戦術分析Podcast・データサイト(SofaScore等)で徹底深掘り。
コンテンツ消費量はむしろ多い。
この3タイプは排他的ではなく、同じ人物が場面によって使い分けている。
重要なのは「どのチャンネルで、どんな情報を、どんな形式で届けるか」がまったく異なるという点だ。
03 ユニフォームを買う前に「調べる」世代
WC2026でZ世代の購買行動として最も注目すべきなのが、スポーツグッズにおけるエシカル消費の台頭だ。
2024年のGlobal Web Index の調査では、Z世代の約62%が「ブランドの社会的・環境的立場が購買決定に影響する」と回答している。(スポーツ消費でも同じ傾向が現れている)
「好きなチームのユニフォームだから買う」という時代から、「このブランドはサプライチェーンで児童労働を使っていないか」「ポリエステル素材のマイクロプラスチック問題はどうなっているか」まで調べてから買う層が増えている。
“ 私は推しクラブのユニが欲しいけど、製造している工場の労働環境が不透明なブランドからは買いたくない。エシカルな選択肢があるなら、少し高くても選ぶ。”
— Z世代サポーターへのインタビューより(意訳・一般化)
ナイキ、アディダス、プーマなど大手スポーツブランドは今大会に向けて、サステナブル素材を使ったユニフォームラインを拡充している。
リサイクルポリエステルの使用率公開、フェアトレード認証工場の採用、CO₂排出量の製品ページ掲載——
これらはすべて「調べるZ世代」に応えるための設計だ。
04 Z世代サポーターが実践するエシカル消費チェックリスト
実際にZ世代がグッズ購入前に行う「確認行動」を整理すると、こうなる。
| チェック項目 | 見るべきポイント | 難易度 |
| 素材のサステナビリティ確認 | リサイクル素材の使用率・オーガニックコットン認証 | ★☆☆ 比較的簡単 |
| ブランドのCSR情報を検索 | 公式サイトのサステナビリティページを確認 | ★★☆ 少し手間 |
| サプライチェーンの透明性 | 製造工場の国・労働環境の開示有無 | ★★☆ 少し手間 |
| スポンサー企業のスクリーニング | 大会スポンサーの環境・人権方針を確認 | ★★★ 上級者向け |
| 二次流通・レンタルの検討 | 新品購入の前にフリマアプリで探す | ★☆☆ 比較的簡単 |
| カーボンオフセット付き購入 | 一部ブランドが提供するオフセット購入オプション | ★★☆ 少し手間 |
このリストは「完璧なエシカル消費を目指せ」という話ではない。
Z世代の購買行動には「できる範囲で、少しずつ」というプラグマティズムが同居している。
全部やる必要はないが、何も考えないより一歩踏み出す——
その姿勢がZ世代の消費文化の核にある。
05 デザイン会社が読むべき:Z世代が「伝わる」コミュニケーションの条件
私たちがクライアントのブランドコミュニケーションを設計するとき、Z世代へのリーチは避けて通れない課題になっている。
彼らに「伝わる」コミュニケーションには、いくつかの共通条件がある。
✅ 条件①:「正直さ」が前提
完璧さより誠実さ。課題も含めてオープンに語るブランドへの信頼が高い。
✅ 条件②:「参加できる余白」がある
一方的に発信するのではなく、コメント・リポスト・UGCが生まれる設計が必要。
✅ 条件③:「価値観の一致」が購買の引き金
機能や価格より「このブランドは私と同じ世界を見ているか」が選択基準になる。
✅ 条件④:「短くて深い」コンテンツ設計
TikTokの30秒で興味を持たせ、長尺動画やブログで深掘りさせる二段階設計が効く。
06 私たちがこのシリーズをZ世代向けに書く理由
このブログシリーズを毎日更新しているのは、単に「旬のネタ」だからではありません。
WC2026という世界最大のイベントが、サステナブルデザインの実験場になっていること、そしてZ世代がその変化の担い手になっていること——
この交点に、私たちが日々取り組んでいる仕事の本質があるからだ。
デザインは美しいポスターを作ることではない。
人と社会と環境をつなぐ「翻訳の仕事」だ。
Z 世代が見ている世界と、持続可能な未来への問いを、具体的な形にすること——
それが私たちの仕事だと思っている。
SDGsの取り組み



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