株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
── ホスト都市のレガシーデザイン。
スタジアム・記憶・コミュニティに何を刻むか。
花火が消えた朝、都市には何が残るか。
決勝戦が終わり、選手が帰り、観客が去り、報道陣が撤収する。39日間の祭典が幕を閉じたとき、ホスト都市に残るのはスタジアム、新しい交通インフラ、そして消えない記憶だ。
ワールドカップの「レガシー」——大会が都市と社会に何を残すか——は、開催が決まった瞬間から問われ続ける。
過去には、大会後に誰も使わなくなった巨大スタジアムが「負のレガシー」として批判を受けた事例も多い。
一方で、大会をきっかけに都市の交通網が整備され、ボランティア文化が根付き、国際的な知名度が上がった成功例もある。
WC2026のホスト都市は、どんなレガシーを設計しようとしているか。そして「レガシーをデザインする」とはどういうことか——今日はその問いを深掘りする。
01 レガシーには3種類ある
まず「レガシー」という概念を整理しよう。
スポーツイベントのレガシーは大きく3つの種類に分類できる。
それぞれ異なる時間軸で都市に影響を与える。

重要なのは、この3 種類のレガシーが連動しているという点だ。
ハードレガシーが使われなければナラティブは生まれない。
ソフトレガシーが根付かなければハードインフラは維持できない。
「何を残すか」を設計するとき、3 つを同時に考える必要がある。
02 過去大会から学ぶ:成功と失敗のレガシー事例
歴代のW杯がホスト都市・国に何を残したか。
代表的な事例を振り返る。

03 WC2026:主要都市のレガシー設計戦略
WC2026のホスト都市は、過去大会の失敗を踏まえて、それぞれ独自のレガシー戦略を描いている。

04 「白い象」にしないために:レガシーの成否を分ける判断軸
どんなレガシーが「資産」になり、どんなレガシーが「負債」になるのか。
過去大会の事例から導かれる判断軸を整理する。

05 デザイン会社として読む:「レガシー思考」をプロジェクト設計に
「レガシーをデザインする」という発想は、私たちの仕事に直接応用できる。
クライアントのブランドキャンペーンを設計するとき、「キャンペーン終了後に何が残るか」を最初に問うことがレガシー思考だ。

「大会が終わったら終わり」ではなく、「大会が終わってからが本番」という視点——
それがレガシー思考の核心だ。
私たちデザイン会社も、納品して終わりではなく、クライアントの活動が社会に何を残すかまで考える仕事をしていきたいと思っている。
06 Z世代へ:あなたはどんな記憶を持ち帰るか
WC2026を観た(あるいは観なかった)Z世代が、10年後・20年後に「あの大会は自分にとってこういうものだった」と語るとき、それは個人のナラティブレガシーだ。
スタジアムが残るか否かよりも、「その体験が自分の何かを変えたか」という問いの方が、個人にとっては本質的なレガシーかもしれない。
初めてサッカーを好きになったきっかけの試合、友人とリアルタイムで観た深夜の一戦、初出場国の選手が泣いている映像——小さな体験の積み重ねが、都市のナラティブを作り、文化を作り、次世代のサッカーファンを生む。
💡 レガシーとは「後に残るもの」ではなく「後を変えるもの」だ
建物は老朽化し、記録は書き換えられ、都市の景観は変わる。
しかし「あのとき感じたこと」は、人の中に残り、その人の選択を変え続ける。
それが最も小さく、最も長持ちするレガシーだ。
SDGsの取り組み



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