32 → 48チームへ。フォーマットをリデザイン【FIFA WC2026-10】

32 → 48チームへ。

株式会社あさひデザインワークスの黒岩です。
── 拡大の論理、多様性の実現、質の担保。
フォーマット設計から組織デザインを学ぶ。

「変えるべきか、守るべきか」——この問いは、あらゆる設計の核心にある。
1998年から続いてきた「32チーム・8グループ・64試合」というフォーマットは、世界中のサッカーファンに親しまれてきた。

シンプルで公平で、試合の密度が高い。
「完成された設計」と呼ぶ人も多かった。


それを FIFA は 2026年大会から「48チーム・12グループ・104試合」へと大幅に変更した。
+16チーム、+40試合。
史上最大の拡張だ。この決定を「財政的な理由だけ」と片付けることもできる。
しかし設計の問題として丁寧に読み解くと、そこには「多様性の実現」「参加の民主化」「システムの持続性」という複数のデザイン判断が積み重なっていることが見えてくる。
今日はその層を一枚ずつ剥がしていく。

目次

01  まず数字で比べる:旧フォーマット vs 新フォーマット

新旧フォーマットを主要な指標で並べると、変更の「スケール感」が実感できる。

ひとつ注目してほしいのは「最低試合数」の変化だ。
旧フォーマットではグループで3試合消化して敗退するのに対し、新フォーマットでは3チームグループのため最低2試合で終わる可能性がある。
この点は後述する「批判」の中心になっている。

02  多様性の地図:大陸別出場枠の変化

48チームへの拡大で最も直接的な恩恵を受けるのは、これまで出場枠が少なかった大陸連盟だ。
アフリカ・アジア・北中米カリブ海・南米の各連盟の枠がどう変わったかを見てみよう。

アフリカへの+4は特に象徴的だ。
サッカー人口・競技レベルともに急成長しているアフリカ大陸に、W杯の門戸が大きく開いたことになる。「世界中の誰にでも夢の舞台への道がある」というFIFAのメッセージが、数字として現れている。

03  賛否両論:フォーマット変更をめぐる議論

もちろんこの変更はすんなり受け入れられたわけではない。
賛成派と批判派の主な論点を整理しよう。

この賛否構造はデザイン思考における「トレードオフ分析」そのものだ。
すべての要件を同時に満たすことはできない。どの価値を優先し、何を犠牲にするか——
その選択が設計の本質だ。

04  デザイン思考で読む:フォーマット設計の5つの問い

フォーマットという「ルール設計」は、UXデザインでいえばサービスのアーキテクチャ設計に相当する。何をできるようにし、何を制約するか——
その選択がユーザー(出場国・選手・サポーター)体験のすべてを規定する。

フォーマットは思想だ。誰が参加できるか、誰が勝ちやすいか、どんな体験が生まれるか——
すべてルールが決める。
— スポーツ競技設計論より(意訳)

05  グループステージの「設計変更」が生む体験の差

4チームグループから3チームグループへの変更は、単なる数の問題ではない。
「試合体験の構造」を根本から変える。

06  デザイン会社として考える:「拡大」は「希薄化」ではない

私たちがクライアントのブランドやサービスを拡張するとき、必ず直面する問いがある。

「拡大するとコアが薄まるのではないか」という懸念だ。
W杯の48チーム化批判の核心も、まさにそこにある。
「欧州・南米の強豪が集う緊張感のある試合が減る」という懸念は、「拡大によってブランドの質が下がる」という問いと同型だ。
しかし逆の見方もできる。
多様なチームが参加することで、これまでになかったスタイル・文化・プレーが大舞台で披露される。
アフリカの戦術、アジアの組織力、北米の身体性——
それが混ざり合うことで、新しい「W杯の語り」が生まれる可能性がある。

💡  「拡大」を「希薄化」にしないための2つの設計原則
① コアバリューを定義してから拡大する:何を守るかが決まれば、何を変えても大丈夫になる
② 多様性を「付け足し」ではなく「源泉」にする:異なる声が品質を上げる設計を目指す

07  Z世代へ:「初出場国」をフォローするという新しい楽しみ

48チーム化で最も増えるのは「初出場国」や「久しぶりの出場国」だ。
WC2026では、アフリカや東南アジアからはじめてW杯の舞台に立つ国が複数出てくる可能性がある。

Z世代のサッカーファンの間で広がりつつあるのが「弱小国・初出場国を推す」文化だ。
強豪国の結果は誰でも追うが、初めてW杯に来た国の選手がピッチで泣いている映像、無名の選手が強豪を破る瞬間——それがTikTokで爆発的に広まる。

48チームだからこそ生まれる「アンダードッグストーリー」がある。
それはW杯というコンテンツの多様性であり、Z世代が求めてきた「物語で応援する」文化の延長線上にある。

SDGsの取り組み

目標 4 質の高い教育をみんなに
目標12 つくる責任つかう責任
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
をメインにサポート業務に取り組みます。
(2026年度 SDGsの取り組み)

株式会社あさひデザインワークスは
「前橋SDGsパートナー」に登録されました。(登録番号:109)

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